アソシエーション分析とは、どのような手法なのでしょうか。この記事では、アソシエーション分析の概要やメリット、具体的な指標や活用例等をご紹介します。
アソシエーション分析とは
アソシエーション分析とは、どのような概念なのでしょうか。まずは、アソシエーション分析について解説します。

大量のデータから情報同士のパターンや関連性を見つけ出すこと
アソシエーション分析とは、大量のデータから情報同士のパターンや関連性を見つけ出すことです。仮説に基づいてデータを分析し結果を導くことで、問題解決や売上向上のための具体的取り組みに繋げるのが目的です。
たとえば「購買データを分析した結果、A商品とB商品が併せ買いされるケースが多い」等が挙げられます。その場合はA商品とB商品を並列させる、レコメンドするといったやり方が考えられるでしょう。
データマイニングの一種
アソシエーション分析は、データマイニングの一種です。データマイニングとは、ビッグデータに対して分析を行い、情報の関連性や傾向を見つけることです。
代表的な手法としては、統計分析や機械学習が挙げられるでしょう。アソシエーション分析は、データマイニングにおいて主に購買データから購買行動における関連性を見つけ出すための手法です。
マシンラーニングモデルによって行われる
アソシエーション分析は、基本的にマシンラーニングモデルによって行われます。マシンラーニングモデルとは、ビッグデータの中からパターンや関連性を引き出すためのものです。
具体的には、if(もしも〜なら)とThen(こうである)というルールを作り、それらの関連性を調べる形です。関連性は後述する指標によって数値化されるため、両者がどれくらい関連しているかを定量的に示せるのがポイントです。
数値化されているため、最も関連性の強い組み合わせ、もしくはその逆を導き出すことも可能です。
アソシエーション分析のメリット
アソシエーション分析のメリットとしては、下記のようなものが挙げられます。
勘や経験ではなくデータが根拠になる
まず挙げられるのは、勘や経験でなくデータを根拠に据えられる点です。従来、経営企画判断においては勘や経験といった暗黙知的な部分が主流であったかもしれません。
それが100%悪いわけではありませんが、経験者の直感等に頼るやり方は属人性が高まってしまう恐れがあります。特定の担当者がいないと判断基準が曖昧になり、業務が回らなくなってしまう可能性があるわけです。
特定の誰かの勘や経験でなくデータを根拠にすることで、判断に再現性をもたせることができます。「何故この判断に至ったか」を明確に言語化でき、その結果どうなったのかもフィードバックできるでしょう。
それにより、さまざまな分野における判断の精度向上に繋がります。
新製品やサービス開発に役立つ
アソシエーション分析を行うことにより、新製品やサービス開発に役立ちます。新製品やサービスの開発を行う主目的は「売上を上げること」なので、そのための企画や展開を考える必要があります。
何の基準もなくゼロベースで行う場合、どこから手をつけていいのかが不明確になってしまうでしょう。闇雲に開発されたものがヒットする確率は低く、費やしたコストやリソースが無駄になってしまうかもしれません。
事前にアソシエーション分析を行い関連する仮説を検証しておくことで、開発における指針を立てることができます。絶対に成功間違いなしな企画開発はありえませんが、ゼロベースで行うのに比べると精度が高まるのではないでしょうか。
売上向上に寄与する
アソシエーション分析を適切に行うことができれば、売上向上に寄与します。購買分析により「A商品を購入した顧客はB商品を購入する可能性が高い」ことが分かっていれば、両者を並列展開させる手法が考えられます。
検証した分析が正しい場合、B商品の売上向上に繋がるでしょう。他にもさまざまな面でアソシエーション分析を行い売り方を工夫することで、全体的な売上向上に寄与するわけです。
アソシエーション分析で用いられる指標
アソシエーション分析の有用性は分かりました。では次に、アソシエーション分析で用いられる指標について解説します。
支持度(support)
支持度は、商品Aと商品Bが併せて購入される割合を示す値です。支持度が高ければ高いほど、商品Aと商品Bが一緒に購入される可能性が高いことを示します。
支持度は、商品Aと商品Bを併せて購入した顧客数を全体顧客数で割ることで求められます。商品Aと商品Bを併せて購入した顧客数が20で全体顧客数が100の場合、支持度は0.2になります。
20(商品Aと商品Bを併せて購入した顧客数)÷100(全体顧客数)=0.2(支持度)
信頼度(confidence)
信頼度は、商品Aを購入した人に対して商品Bも購入した人の割合を示す値です。信頼度が高ければ高いほど、商品Aを購入した人が商品Bを購入する可能性が高まるわけです。
信頼度は、商品A&Bを購入した人の数を商品Aを購入した人の数で割ることで求められます。商品Aを購入した人が100人、その中で商品Bを購入した人の数が50人であれば信頼度は0.5になります。
信頼度を用いる際の注意点として、そもそも商品Aを購入した人の数が少ない場合は高めに算出されることが挙げられます。例えば、商品Aを購入した人が1人でその人が商品Bも購入した場合は信頼度が1になりますが、これは状況を正しく示した値とは言い難いでしょう。
その場合は前述した支持度を用いることにより、多方面から正しい分析が可能になります。
50(商品Bを購入した人)÷100(商品A&Bを購入した人)=0.5(信頼度)
リフト値(Lift)
リフト値は、商品A&Bを購入した顧客数が商品Bのみを購入した顧客数に対してどれほど多いかを示す値です。リフト値が1よりも小さくなる場合、商品AとBの関連性は低いと言えるでしょう。
リフト値は、先程説明した信頼度を「商品Bのみを購入した数÷全体の顧客数」で割ることで求められます。信頼度が0.2に対して商品Bのみの購入者数が10、全体顧客数が100の場合、リフト値は2になります。
この場合、商品AとBの関連性は(リフト値による分析によると)強いことになります。
0.2(信頼度)÷【10(商品Bのみの購入者数)÷100(全体顧客数)】=2(リフト値)
アソシエーション分析の実用例
アソシエーション分析のやり方は以上です。では次に、アソシエーション分析の実用例について解説します。
関連商品の販売
アソシエーション分析により関連性が検証された商品を併せて販売することにより、売上向上に繋がるでしょう。指標解説の際における商品AとBの関連性が強い場合、両者を目立つように販売する等が挙げられます。
他にも、オンライン通販でレコメンドする、併せ買いによるキャンペーンを展開するといったやり方も考えられます。ただ注意点として、関連が強い商品同士の場合でもあまり強く勧めすぎるのは逆効果な可能性がある等が挙げられます。
アソシエーション分析の目的は、あくまでも売上向上です。売上を最適化するために、バランスの良い施策を実施しましょう。
検索キーワード
アソシエーション分析により、ユーザー来訪時の検索キーワードを分析しサイトの流入や滞在、CVを増やせるかもしれません。ユーザーが自社サイトを訪れる経路にはさまざまなものがありますが、その内の一つとしてGoogle等からの検索流入が挙げられます。
ユーザーが目的となるキーワードを検索することにより検索結果が表示され、目当てのサイトを来訪する流れです。自社サイトに辿り着いた検索流入の検索キーワードを分析することで、さまざまな組み合わせにおける関連性が見つかるでしょう。
アンケートの深掘り
アソシエーション分析を使うことで、アンケートの深掘りにも役立つかもしれません。アンケートにはさまざまな記載項目がありますが、ある回答をしたユーザーが別の質問に同じような回答をするケースもあるでしょう。
そういった関連性を分析することで、効果的な商品開発やプロモーション企画のアイデアに繋がる可能性があります。前述した指標を駆使し、なるべく多方面から分析することをおすすめします。
アソシエーション分析を行う際の注意点
では次に、アソシエーション分析を行う際の注意点について解説します。アソシエーション分析は便利な手法ですが、あくまでも一つの手段であることを忘れないようにしましょう。
目的を明確化する
まず挙げられるのは、目的の明確化です。アソシエーション分析は目的達成のための手段の一つであるため、第一に目的を明確化する必要があります。
目的が不明瞭なままアソシエーション分析を行うとどうなるのでしょうか。要素同士の関連性は見つかるかもしれませんが、それらをどのように実務に活かすべきかが不透明になってしまうでしょう。
アソシエーション分析における目的の多くは、やはり売上向上です。売上向上のために行うのであれば購買データから商品同士の関連性を探るのがベターであり、それに沿った売り場展開やプロモーションを行うのが一般的です。
目的が異なるのであれば、もちろん分析結果の捉え方や活かし方も変わります。設定した目的に対し、正しく適用しましょう。
データ分析について学ぶ
データ分析について学ぶことで、よりアソシエーション分析の理解を深められるかもしれません。データ分析にはアソシエーション分析以外にもさまざまな手法があり、それぞれ場面に応じて用いられています。
それらを全て網羅する必要はありませんが、データ分析の基礎を知ることでアソシエーション分析の精度を高められる可能性があるでしょう。また、詳しくは後述しますが、アソシエーション分析と他の手法を比較・共用することで新たな知見を得られるかもしれません。
また、データ分析のためのツールを用いるのも手でしょう。データ分析に用いられるツールとしてはExcelが挙げられますが、より高精度な分析を行う際は専門のツールを活用することもあります。
また、プログラミング言語の一つであるPythonを使い、データ分析のためのプログラムを書くこともできます。
他の手法と比較する
他の分析手法と比較したり、共用したりすることで新たな発見があるかもしれません。データ分析手法にはアソシエーション分析以外にもさまざまなものがあり、それぞれ特徴も異なります。
一例としては、商品ABC分析が挙げられるでしょう。商品ABC分析とは商品の売上や金額、在庫数、コスト等に対してA~Cのランクを付け、販売優先度を可視化する方法です。
商品ABC分析を用いることで、商品管理の効率化に繋がるのが特徴です。アソシエーション分析で効果的な商品販売手法を策定・実施し、商品ABC分析で販売を効率化する等の用い方が考えられます。
まとめ
アソシエーション分析は、ビッグデータから情報間の関連性を見つけ出す手法です。アソシエーション分析を適切に行えば購買データから商品同士の関連性を導き出すことができ、売上向上に繋がるでしょう。