今注目されているリテールメディアとは?リテールメディアの概要やメリット、取り組み方について解説
記事の監修
代表取締役村越 聖人
2006年からエンジニアよりデジタル業界でのキャリアをスタート。
大小様々なWebシステム開発およびシステム運用保守を経験。
フルスタックエンジニアとして上流から下流工程まで一連の業務を担当するとともに、サーバー設計、構築、運用設計などのサーバー管理者業務も兼任。
近年は、顧客折衝を含む提案型営業からDMP絡みのデータ分析業務をはじめ、プロジェクトの全体統括・SEなど業務要件に合わせたポジショニングで顧客ニーズの最大化を図るサービス提案を実施。
新規事業で立ち上げた自社サービスにて、発明者として特許取得。
2019年5月 株式会社glorious future 設立。
2006年からエンジニアよりデジタル業界でのキャリアをスタート。
大小様々なWebシステム開発およびシステム運用保守を経験。
フルスタックエンジニアとして上流から下流工程まで一連の業務を担当するとともに、サーバー設計、構築、運用設計などのサーバー管理者業務も兼任。
近年は、顧客折衝を含む提案型営業からDMP絡みのデータ分析業務をはじめ、プロジェクトの全体統括・SEなど業務要件に合わせたポジショニングで顧客ニーズの最大化を図るサービス提案を実施。
新規事業で立ち上げた自社サービスにて、発明者として特許取得。
2019年5月 株式会社glorious future 設立。
昨今注目されている「リテールメディア」をご存知でしょうか。この記事では、リテールメディアの概要や注目されている背景、そのメリット、およびリテールメディアを活用したプロモーションについて解説します。
- リテールメディアについて詳しく知りたい人
- リテールメディアが注目されている背景を知りたい人
- リテールメディアを使った販促を考えている人
リテールメディアとは
リテールメディアとは、どのようなものなのでしょうか。まずは、リテールメディアの概要について解説します。
小売や流通、EC事業者等が手掛ける広告媒体のこと
リテールメディアとは、小売や流通、EC事業者等が手掛ける広告媒体のことです。一般的な広告媒体とは異なり、消費者と直接繋がっている小売や流通だからこそできるきめ細やかな情報発信が特徴です。
メーカーがそこに広告を出すことにより、消費意欲の高い層に情報を届けやすくなるわけです。
海外では市場が拡大している
海外では既にリテールメディアが一般的になっており、市場も拡大傾向にあります。あるコンサルティングファームでは、市場が年間12%ずつ拡大し2026年には1400億ドルに達するという見方もなされています。
海外で拡大傾向にあるからといって日本でもそうなるとは限りませんが、可能性は高いでしょう。詳しくは後述しますが、リテールメディアが有利に働く環境が整いつつあるからです。
重要な収益源になりえる
リテールメディアを上手く活用することで、重要な収益源になります。小売や流通業は一般的に原価率が高く、薄利多売なビジネスモデルになりがちなのが一つの課題でした。
メーカーから商品を仕入れて販売するといった性質上、どうしても消費者の求め(良いものを安価で手に入れたい)に応える必要があるからです。一方、リテールメディアは広告配信業に近く、顧客も一般消費者ではなくメーカー等の企業になります。
すなわち、本業に比べると収益性が高いわけです。もちろん本業あってのリテールメディアなのでそちらにリソースを全振りするわけにはいきませんが、積み重ねた資産や知見を有効に活用して利益を生むのは企業努力の範疇と言えるでしょう。
リテールメディアとは、リテール事業者が手掛けている広告媒体のこと
- 海外では既に一般的な存在になっている
- 日本でも市場の広がりが予想されている
- 商品の売上に加え、広告収益が得られる
リテールメディアにはどのようなものがあるか
では次に、リテールメディアの種類について解説します。
ECサイト・アプリ
まず挙げられるのは、ECサイトやアプリです。ECサイトを構築すれば、インターネットを介して遠方の消費者にも商品を届けられます。
また、店舗独自のスマホアプリも一般化しているのではないでしょうか。アプリをインストールしてもらうことで消費者に有益な情報を提供し、来店を促せます。
ECサイトもアプリも、共にリテールメディアの一種です。
デジタルサイネージ
店頭に並べられているデジタルサイネージも、リテールメディアに含まれるでしょう。デジタルサイネージとは「ディスプレイやタブレット等の電子表示媒体を利用した情報発信媒体」のことです。
デジタルサイネージの利点としては、下記のようなものが挙げられます。
- チラシ等と比べて目につきやすい
- 動画広告も可能
- 貼り替えの手間やコストがかからない
初期コストこそかかりますが、一度設置したらポスターのように貼り替える手間がありません。加えて、動画広告等の目立つ表現もできるため、顧客への訴求効果を高められます。
店頭のPOP広告
店頭のPOP広告もリテールメディアの一種です。一般的なPOPには商品の名前と値段が書かれていますが、それだけではリテールメディアとは言い難いかもしれません。
たとえば「新商品のプロモーションのためにメーカーと一体になって売り場構成を考え、デジタル機器等を用いた販促を行う」等の状況があるとします。この場合の「デジタル機器」がリテールメディアになりえるわけです。
上記デジタルサイネージとの相違点は、デジタルサイネージは基本的に常設で、POP広告は必要な時に必要な場所に出せる等が挙げられるでしょう。
リテールメディアにはどのようなものがあるのか
- ECサイトや独自のアプリ
- デジタルサイネージ
- 店頭に設置されているPOP広告
何故リテールメディアが注目されているのか
何故今リテールメディアが注目されているのでしょうか。続いて、その背景について解説します。
プライバシー保護の観点
まず挙げられるのは、プライバシー保護の観点です。今は個人でもインターネットを介してさまざまな情報にアクセスできますが、反面プライバシーが侵害されてしまうリスクもあります。
それを防ぐために、インターネットにまつわる事業者や国家、自治体等による取り組みが行われています。具体的には、Googleによるサードパーティ製Cookieの廃止や、欧州圏によるGDPR(General Data Protection Regulation)等が挙げられるでしょう。
プライバシーの保護と個人情報の取得のしやすさは、一般的にトレードオフの関係です。今まではインターネットを通してユーザーのさまざまな情報・データを取得可能でしたが、それが難しくなると小売・流通業の持つ1stPartyデータ(自社が直接的に入手したデータ)が重要になるわけです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進
次に挙げられるのは、DXの促進です。DXとは「デジタル機器やビッグデータ・テクノロジーを活用したビジネスモデルの刷新による競争優位の確立」といった意味を持つ言葉です。
DXを促進すればするほど、リテールメディアの持つ意義や役割が大きくなると言えるでしょう。リテールメディアの成否は小売・流通業の持つ1stPartyデータの活用にありますが、それらを収集し適切に取り扱うにはITが必須だからです。
さまざまなデータを活用できる
リテールメディアでは、流通や小売が収集した1stPartyデータを活用できます。前述の通り、プライバシー保護の観点からユーザーの個人情報を収集するのが難しくなっている背景があります。
それだけではなく、流通や小売が手掛けるメディアに広告を打つことで、消費者に情報を届けやすいという利点もあります。リテールメディアを閲覧するのは、普段からそのサービスを利用している消費者であると推測されるからです。
メーカーとしては、分母が不明瞭な場所に広告を出すよりコストパフォーマンスの向上が期待できます。
リテールメディアが注目されている背景
- インターネットにおけるプライバシー保護
- DXの促進によるITとの馴染みの良さ
- ビッグデータの活用
リテールメディアのメリット
では次に、リテールメディアのメリットについて深掘りしたいと思います。
小売とメーカー双方が利益を得られる
まず挙げられるのは、リテール事業者とメーカーの双方が利益を得られる点です。リテール事業者はサイトやアプリを通して消費者に来店の機会を提供できるのに加え、広告収益が得られます。
メーカーは、事業者の持つ1stPartyデータを活用して消費者にきめ細やかな情報発信ができるでしょう。一般的な広告に比べると、より購買意欲の高い層に訴求が可能なのもメリットです。
そして、消費者もプライバシーを侵害されずに必要な情報を取得できます。事業者・広告主、消費者が三方良しになることがリテールメディアに期待される役割です。
関係各所と協力して総合的な販促を行える
リテールメディアを活用することで、関係各所と協力して総合的な販促を行えます。従来は店舗での販促は店舗側が、それ以外の広告宣伝はメーカー側が行い、それぞれが分離していたケースも多かったのではないでしょうか。
それによるメリットもありますが、リテールメディアを通すことで両者が協力して販促を行えるようになります。メーカーの新商品発売に合わせてリテールメディアで大々的に取り上げれば、商品の周知を促せるでしょう。
メーカーは新商品の販促ができ、店舗側は広告収益を得られるわけです。
1stPartyデータを活用できる
リテールメディアに広告を掲載する際には、リテール事業者の持つ1stPartyデータを活用できます。プライバシー保護の観点からオンライン上でのデータ取得に制限が加わっているのは前述の通りですが、直接来店する消費者データにその縛りはありません。
もちろん、個人情報の取り扱いには十分に注意する必要があります。しかし、個人を特定しないビッグデータの活用で事足りるケースも多いのではないでしょうか。
1stPartyデータを販促に活かすことで、メーカーは消費者の行動や心情に沿った販促プランを立案できるわけです。
リテールメディアを活用するメリットとは?
- リテール事業者とメーカーの双方が利益を得られる
- 総合的な販促に繋がる
- リテールの持つ1stPartyデータを活用できる
リテールメディアに取り組むためのステップ
では次に、メーカーがリテールメディア活用に取り組むためのステップをご紹介します。リテールメディアとの関わり方はさまざまですが、下記のようなやり方が一般的でしょう。
ターゲット・媒体の選定
まずは、情報を受け取ってほしいターゲットを定めます。ターゲットの選定はマーケティングの基本ですが、リテールメディア活用において大事なのは、情報を購買意欲の高い層に届けることです。
そのため、どのようなユーザーが自社製品に対する購買意欲が高いのか、そして彼らは普段どのような行動を取っているのかを分析する必要があります。そのあたりが明確になれば、自ずと広告を出すべき媒体も絞り込めるでしょう。
媒体を選ぶ際には、リテール側からデータを提供してもらう手もあります。データを活用すれば、勘や経験ではなく客観的根拠に基づいた判断が可能です。
プロモーションの実施
媒体の選定が終わったら、プロモーションに入ります。プロモーションは大きく分けてオンラインのものとオフラインのものがあるため、両者を適切に使い分けることが大事です。
具体的には「リテールのECサイトやアプリでクーポンを配り来店を促す(オンライン)」「店頭でデジタルサイネージを使い商品の周知を行う(オフライン)」等が挙げられます。必ずしも両者を別々に行わなければならないことはないため、同時に展開することで強力なプロモーション効果が得られるかもしれません。
オンラインプロモーションを行う際は、リテールの持つ1stPartyデータを活用しましょう。データに沿って、ターゲット層に必要な情報が届くよう努めることが大事です。
効果測定・改善
上記プロセスを行ったから終わりというわけではありません。プロモーションを行ったことでどのような効果があったのか、費用対効果はどうだったのか、プロセスは滞りなく進行できたのか等をしっかり振り返ることが大事です。
ここでもまたリテール側が取得した1stPartyデータの活用が可能です。オンライン施策に対してどの程度の反響があったのか、実際に来店した割合はどのくらいだったのか、クーポンの利用率はどうだったのか等が指標となるでしょう。
それらの結果に基づき、より効果が高まるようプロセスを改善します。
リテールメディアに取り組むためのステップはこれ
- ターゲットおよび広告を出す媒体を決める
- プロモーションを実施する
- 結果から効果を測定し次に繋げる
まとめ
リテールメディアとは、流通や小売等のリテール事業者が手掛けているメディアです。リテールメディアを上手に活用することで、効果的なプロモーションに繋げられるでしょう
リテールメディアとは、流通や小売といったリテール業者が手掛けているメディアのこと
- リテールメディアを活用することでリテールとメーカーの双方が利益を得られる
- メーカーはリテールの持つ1stPartyデータを活用した販促が可能
- リテールは商品の売上に加えてメディアの広告収益を得られる