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システム移行とは?作業手順や注意点・失敗しない方法を解説

記事の監修

代表取締役村越 聖人

2006年からエンジニアよりデジタル業界でのキャリアをスタート。
大小様々なWebシステム開発およびシステム運用保守を経験。

フルスタックエンジニアとして上流から下流工程まで一連の業務を担当するとともに、サーバー設計、構築、運用設計などのサーバー管理者業務も兼任。

近年は、顧客折衝を含む提案型営業からDMP絡みのデータ分析業務をはじめ、プロジェクトの全体統括・SEなど業務要件に合わせたポジショニングで顧客ニーズの最大化を図るサービス提案を実施。

新規事業で立ち上げた自社サービスにて、発明者として特許取得。

2019年5月 株式会社glorious future 設立。

2006年からエンジニアよりデジタル業界でのキャリアをスタート。
大小様々なWebシステム開発およびシステム運用保守を経験。

フルスタックエンジニアとして上流から下流工程まで一連の業務を担当するとともに、サーバー設計、構築、運用設計などのサーバー管理者業務も兼任。

近年は、顧客折衝を含む提案型営業からDMP絡みのデータ分析業務をはじめ、プロジェクトの全体統括・SEなど業務要件に合わせたポジショニングで顧客ニーズの最大化を図るサービス提案を実施。

新規事業で立ち上げた自社サービスにて、発明者として特許取得。

2019年5月 株式会社glorious future 設立。

システム移行は、企業を継続・拡大していく上で、いずれ対応する必要が出てくる業務です。システムのサポート終了に伴い、旧式から最新のものへ切り替えたり、定期的な改修時期を迎えたりと、さまざまな状況で、システムの移行が求められます。

しかし、利用中のシステムの移行が必要であると感じながらも、手順や知識に乏しく、なかなか着手できないことも珍しくありません。また、どのような場合にシステム移行が必要となるのか疑問に思う方も多いでしょう。

そこで今回は、システム移行の方法や必要なケースを知りたい方に向け、システム移行の3種類の方式、移行手順と注意ポイントについて解説します。

この記事はこんな人におすすめ
  • 自社のシステム移行の責任者を務める方
  • システム更新を検討中の経営者の方
  • 企業合併に伴うシステム統合を担当する方

システム移行とは?【新環境にシステムを移行する業務】

システム移行とは、現在利用しているシステムを最新のシステムに置き換えたり、新環境へ移したりする作業を意味します。システム移行は、企業や団体にとって一定の周期で発生する業務です。

そのため、スムーズな移行を実現するには、詳細な計画立案が欠かせません。さらに、新システムと古いシステム双方について十分な理解を深めておくことも大切です。

システム移行が必要な主なケース

システム移行が必要となる主なケースは以下の通りです。

ここからは、システム移行が必要なケースについて解説します。

OSのサポート終了

OSのサポートが終了すると、開発元からの技術支援が受けられなくなります。セキュリティ対策の更新も停止するので、外部からのサーバー侵入に弱くなる可能性が高まります。

自社だけでなく、サーバーに保有している他社のデータの情報漏洩にも繋がる可能性も考えられるので、OSのサポートが終了する前にサーバー移行の計画を立てることが求められます。

システムの統合

企業の合併や経営環境の変化に伴い、各社で利用していたシステムの一本化が必要なケースがあります。こうした状況では、複数のシステムを単一の環境へ集約する作業が発生します。

また、組織の再編時には、業務システムの統合や再構築も避けられません。このようなケースでも、企業はシステム移行を実施し、効率的な運用体制の構築が求められます。

システムの老朽化

システムには使用期限があり、使い続けるほど老朽化が進みます。同じシステムを利用し続けると、長年システムのカスタマイズを行った影響やシステムの保守、サポートの打ち切りなどによってシステムの使用が困難になります。

システムの老朽化が進むと改修が難しくなり、不具合をリカバリーするためのシステムが複雑化して運用を継続することが難しくなるでしょう。

経済産業省が2018年に発表したDXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の中でシステム老朽化について言及されています。 2025年の崖について詳しくは「▶2025年の崖とは?問題視される理由から対策をわかりやすく解説」をご覧ください。

システム移行の方式

システム移行の方式は主に「一括移行」「段階移行」「並行運用」の3種類があります。これらを業務内容や利用者の影響を想定しつつ、予算内で収まるように決定する必要があるので、ここからは各方式の特徴を解説していきます。

一括移行:1回で全て新システムに切り替える

一括移行は、特定の時点で現行システムの全機能を停止し、新システムへ一度に切り替える方式です。新旧システムの連携が不要なため、移行に伴う費用や手間を抑えられます。

業務が完全に中断するため、事前の準備が整っていれば作業は比較的スムーズに進みます。また、移行に失敗しても旧システムへの復帰が可能で、ある程度の安心感があります。

しかし、この方式にはリスクも伴います。システムの停止時間が長くなり、規模やデータ量によっては作業が長引く可能性があります。

さらに、移行後のトラブル発生率が比較的高く、トラブル時の旧システムへの戻し作業も多大な労力を要します。そのため、事前のテストや対策が欠かせません。

段階移行:期間を決めて段階的に切り替える

段階移行とは、決められた期間内で徐々に切り替えを行う方式です。一括移行と比べて各段階の切り替え範囲が小さいため、トラブルが発生するリスクを抑制できます。

この方式は、長時間のシステム停止が困難な場合や、大規模システムの移行リスクを軽減したい際に適しています。

一方で、複数回の移行作業が必要となるため、手間や費用が増加するデメリットがあります。また、現行システムと新システムの並行運用期間も長くなり、データの整合性維持には注意が必要です。

並行運用:2つ同時に稼働しつつ慎重に切り替える

並行運用とは、2つ同時に稼働しつつ慎重に切り替える方式です。現行システムと新システムを同時に稼働させ、結果を照合します。

新システムの安定性が確認できてから、現行システムを停止します。新システムでトラブルが起きても、既存のシステムが動き続けるため、業務への支障を最小限に抑えられます。そのため、全ての移行方式の中で最もリスクが低いといえるでしょう。

ただし、両システムへのデータ入力が必要な場合、情報の不一致が起きやすくなります。それに対処するには、影響の予測を十分に行い、データをスピーディーに同期させる仕組みの開発が必要です。結果として、作業量や費用が増大する可能性があります。

また、現行システムの課題を洗い出し、生産性向上を目的にする場合、システム開発の知識が求められます。
詳しくは「▶システム開発とはどのような業務か。システム開発の概要や流れについて解説」をご覧ください。

システム移行の手順

システム移行の手順は、主に以下の段階分けられます。

ここからは各手順で何をすべきかについて解説します。

現行システム・データの調査

最初に、稼働中のシステムの仕様とデータ量を調査します。その結果から、移行するデータの量を決定します。不必要なデータは、移行前に整理しておくと良いでしょう。

現行システムの調査では、システムの運用に詳しい担当者を調査チームに加え、仕様や運用状況を網羅的に把握します。また、調査前にシステム全体のバックアップを取得し、現状を保存することも重要です。

移行計画書の作成

現行システムとデータの調査後に、移行計画書を作成します。移行計画書には、「移行方針」「移行スケジュール」「移行対象」「移行方式」「移行ツール」「移行体制」の6つの項目を整理して記載します。

これに加えて、担当者の役割分担も明確に定めておくと良いでしょう。各担当者の責任が明確になれば、自分の作業に集中でき、より確実な移行作業が可能になるでしょう。

また、システムをどういった繋がりで構成するのかの再設定が必要な場合があります。
詳しくは「▶システム構成図とは?書き方・作成の流れとおすすめのツールを解説」をご覧ください。

移行リハーサルの実施

移行計画書を作成したら、移行リハーサルを実施します。この段階では、移行計画書に沿って手順を複数回確認することが重要です。

また、移行作業への影響を抑えるため、本番に近い環境でリハーサルを行うと良いでしょう。実際の環境に近づけるほど、潜在的な問題点が見つかりやすくなります。

本番のシステム移行をスムーズに進めるには、リハーサルで浮上した課題を解決するまで繰り返し行うのが望ましいでしょう。

移行作業の実施

移行リハーサルの完了後、実際のシステム移行作業に取り掛かります。実施前には、疑問点や問題発生時の対応策を関係者間で共有しておきます。

綿密な計画とリハーサルを経ていれば、作業はスムーズに進むはずです。データの移行中は、複数の担当者が手順を逐一確認しながら進めることが重要です。確認しながら作業を行うことで、ミスの可能性を減らせるでしょう。

運用担当者へ引き継ぎ

新システムへのデータ移行作業が無事に終わり、正常な稼働が確認できたら、運用担当者に引き継ぎます。実際の利用者には、新たなシステムの操作方法を指導します。

ここでは、新システムの操作法や旧システムとの相違点、トラブル発生時の対応方法などを説明します。また、マニュアルを活用すれば、より効果的な指導が可能になるでしょう。

システム移行の注意ポイント

システム移行の際には、いくつかの注意点を守ることが重要です。ここからは、システム移行を行う際に注意すべきポイントについて解説します。

リハーサルは本番に近い環境で行う

システム移行を円滑に進めるポイントは、本番に近い環境でリハーサルを実施することです。リハーサルでは、作業時間の見積もりも、実際の状況を想定して行います。

また、サーバーの性能やデータ量を本番と同等にすると、より正確な予測が可能になるでしょう。こうした準備により、予期せぬ影響を最小限に抑えられます。

移行計画書を詳細に作成する

システム移行を成功させるポイントの1つは、移行計画書を詳細に作成することです。移行計画書を作成する際は、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

また、予期せぬ事態による影響を抑えるため、さまざまな状況を想定し、対策を準備しましょう。詳細な移行計画があれば、本番時の突発的なトラブルにも適切に対応できます。専門家のサポートを確保しておくと、安心感が増すでしょう。

次期運用者に事前教育をする

システム移行を成功させるためには、次期運用者に事前教育をすることも大切です。システム移行後の業務をスムーズにするためには、マニュアルをあらかじめ用意しておくといいでしょう。

また、システム移行直後は予想外の問題が生じやすいため、前任者によるサポートが欠かせません。事前教育や移行後のフォローが不十分だと、システム移行後のトラブルの影響が大きくなる恐れがあります。そのため、次期運用者への事前教育は入念に行いましょう。

コンティンジェンシープランを立てる

システム移行を成功に導くもうひとつのポイントは、不測の事態への備えを考えることです。不測の事態の準備としては、コンティンジェンシープラン(Contingency Plan)の策定が有効でしょう。

コンティンジェンシープランの策定により、予期せぬ問題が生じても、事業への影響を抑えられます。また、本番移行時に万全のサポート体制を整えることも、安定したシステム運用のために重要です。

システム移行を外注委託することも検討

自社でシステム移行の経験を蓄積し、知見を資産化するか、外部に委託して時間を有効活用するかは、会社の方針により異なります。効率化を重視する場合、システム移行を外注委託するといいでしょう。

専門業者に任せれば、社内での技術習得が不要になります。また、人員不足や人為的ミスによるトラブル発生の可能性も減らせるでしょう。専門業者との協力を通じて、システムの改良点や業務の効率化案が見つかる可能性もあります。

まとめ

今回の記事では、システム移行の意味やシステム移行が必要なケース、3種類の方式、移行手順と注意ポイントなどについて解説しました。システム移行は、現行システムを新環境へ移す業務です。

OSのサポート終了やシステムの統合、老朽化などがシステム移行を行う主な理由となります。移行方式には、一括移行や段階移行、並行運用があり、各々の特徴を考慮して選択します。

システム移行を成功させるためには、本番に近い環境でのリハーサル実施や詳細な計画書の作成、次期運用者への事前教育、そしてコンティンジェンシープランの策定が重要です。また、効率的なシステム移行を実現するために、外部に委託することもおすすめします。

この記事のまとめ
  • システム移行を実施する理由は、OSのサポート終了やシステムの統合、システムの老朽化などが挙げられる
  • システム移行の方式は、「一括移行」「段階移行」「並行運用」の3種類があり、状況に応じて選択する
  • 移行を成功させるには、本番環境に近い条件でのリハーサル実施や詳細な移行計画書の作成、次期運用者への事前教育、コンティンジェンシープランの策定が重要
  • 効率化を重視する場合は、システム移行の外部委託も有効な選択肢となる

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